大切なあなたの身体の管理を医者にまかせるとどうなるか?<後編>

病院に定期的に通院して薬もしっかり飲んでいた井上さんですが、大動脈瘤が放置されてしまいました。
というのが前回までのところです。
では、井上さんのようにならないためにはどうしたら良いのでしょうか?

井上さんはどうするべきだったか
#1 主治医をつくるべきだった
井上さんも藤崎先生が担当しているときには、年一回の検査をして動脈瘤が手術が必要なほど成長していないかを確認していました。
主治医の先生は当然ですが患者さんのことは覚えています。
しかし、藤崎先生が異動になってからは「薬をもらうだけだから、どの先生の診察でも同じ」だと思って特に先生は決めていませんでした。

「いつもの薬をください」と先生を決めずに外来を受診する患者さんはたくさんいます。
確かに薬を出しているだけに見えるかもしれませんが、この話からもそうではないことがお解りいただけるのではないでしょうか。
また、もしも井上さんの動脈瘤が破裂していたら誰の責任になるのでしょうか?
主治医を決めていれば主治医の責任ということになりますので、それは診療にも影響します。
主治医であれば診療に対する姿勢・態度が変わってくるのも当然でしょう。

#2 病状を把握しておくべきだった
病院に通院していると、医師が異動になるというのはよくあります。
引継ぎといっても最近の状況を軽くカルテにまとめてあるだけです。
引継ぎがないこともよくあります。
医師が交替すると何百人かの全く知らない外来患者を突然担当することになるのですから、一人一人引継ぎをすることは現実的には困難です。

「カルテに書いてあるでしょ?」と言われたことがあります。
確かに書いてあるのかもしれません。
しかし、一人一人の患者さんを診察する前にカルテを全部見返すなんていう時間はありません。
また、字が読めないこともよくあります。
よくある、というより多くの場合読解が困難です。
一度入院を受け持った患者さんというのは比較的記憶に残っているものですが、引き継いだ患者さんはしばらく通院してもらわないと病状を覚えているという段階には至りません。
自分の病状は自分で把握しておきましょう。

井上さんのようにならないために
病気は自分でも管理しましょう
井上さんの大動脈瘤がもしも破裂して亡くたっていたら・・・
確かに病院に責任は問えたかもしれませんが、井上さんは生き返らないのです。
医師や病院のせいにすることはできて、慰謝料も請求できるかもしれませんがそれで良いのですか?
断言しますが、医師に任せておけば大丈夫なんていうことは全くありません。

年一回程度検査をして、経過を見るという病気はとても多くあります。
今回登場した大動脈瘤をはじめ、大腸ポリープ、胆のうポリープなども年一回程度の検査で経過を見ることが多い病気です。
あなたも井上さんのようにならないために、自分の病気は自分でも把握してください。
検査であれば手帳などに、何年の何月にどの病気に対して何の検査をしたのか書いておきましょう。
検査結果ももらって一緒に保管します。
入院したのであればその時の病名、手術をしたのであれば術式なども書いておきましょう。
自分がなぜ入院したのか病名を知らなかったり、何のために検査をしたのか聞いてもわからないということがとても多くあります。
一年前に検査したことをメモしておき、次回の検査が近づいたときに先生に「そろそろ検査の時期ですね」と伝えれば大丈夫です。

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