血圧が気になってしまうあなたに

あなたは血圧を測る度、今日は高いけど大丈夫かな？と心配になったことはありませんか？
実は血圧をそれほど気にする必要はありません。

そもそも血圧は不正確

あなたが普段、腕をぎゅっと締め付けられて測る血圧は正確には非観血血圧(NIBP)と呼ばれます。
このようにして測定される血圧はそもそも正確なのでしょうか？

非観血血圧と観血血圧

非観血血圧測定では、マンシェットと呼ばれる風船を腕に巻き付けて、そこに空気を送り込むことで腕の血管を締め付けて血流が止まった時の圧力と血流が再開した時の圧力を測定しています。
腕に風船を巻き付けて血圧を測るなんていう方法、原理から言ってもかなりいい加減な気がしませんか？
マンシェットの太さ、マンシェットの巻き方の強さ、マンシェットの幅、マンシェットの高さ、圧力を変化させるのにかける時間など、正確に血圧を測るには様々な条件があります。
実は血圧を正確に測るのは結構難しいのです。

非観血血圧対して、動脈内に直接針を刺して測る血圧を観血血圧といいます。
腕などの動脈の中に点滴の針を入れ、直接血圧を測ります。
ICUなど、病院内でも限られたごく一部で使われる方法です。

非観血血圧と観血血圧どちらの血圧がより正しいのかはわかりませんが、両者は違った値になっていることが多いです。
このように病院内で医療従事者が血圧を測っても、正確な血圧とうのはよくわからないものなのです。

血圧は測る度に違って当たり前

前述のように、血圧は正確に測ることが難しいのに加えて、常時変動しています。
あなたも血圧を測った直後にもう一度1測りなおしたら全然違った値だった、なんていう経験はありませんか？

あなたが測っている血圧はその一瞬の血圧なのです。
あなたは今この瞬間の血圧がわかりますか？
私たちは血圧を感じることができません。
たとえちょっと前に測った血圧が少し高かったとしても、今この瞬間の血圧は誰にも分らないのです。

血圧は測った直後にもう一度測ったって10mmHgや20mmHgは平気で変わってくるような信頼性しかない値です。
なので、今日のしかも今の一瞬の血圧に一喜一憂することに全く意味はありません。
「今日血圧が高かったから病院で診てもらおう」なんていうのは、全くナンセンスな話です。

自動血圧計で測る血圧 vs. 水銀計で測る血圧

血圧が高いと、私に水銀系を使って聴診器を当てながら血圧を測りなおして欲しいという要望がそれなりにあります
人が水銀系で測る血圧の方が正確だと思っている方も多いようですが、本当にそうでしょうか？
私は自分が測る血圧よりも自動血圧計の血圧を信用します(笑)
理由を書くと長くなるのでこれは割愛させて頂きますが、水銀計の方が正確で、自動血圧計で測った血圧は不正確なため参考にならない、なんていうことはないということだけ覚えておいてください。

正確な血圧は必要ありません

治療上の必要性から言っても、そもそもの測定原理から言っても、私たちは正確な血圧を知ろうとは思っていません。
さらに言えば、内科外来で今の瞬間の血圧を正確に測ることにそれほど意味があるとは思えません。
それは、血圧は測定した一瞬の血圧でしかないからです。

たまたま体調が悪いとか、走って病院に来たばかりで血圧を測ってしまったなどの理由で受診時の血圧は簡単に変動してしまいます。
なので、一回の血圧測定で血圧が高いとか低いとか議論すること自体に意味がありません。

どういうタイプの血圧計がいいか～腕に巻く血圧計と手首に巻く血圧計

腕に巻く血圧計と手首に巻く血圧計はどちらが良いですか？と聞かれることがあります。
ここまでさんざん書いてきた通り、正確性という意味から言えばどちらも不正確ですし、血圧は変動するものですからある一瞬の血圧を正確に測ることにそれほど意味があるとは思えません。
そのうえで、どちらのタイプの血圧計が良いかということになるといろいろなご意見があるかと思いますが、個人的には手首で測る血圧計の方が好ましいのではないかと思います。
理由は、一人でも血圧を巻きやすいので血圧を測りやすいからです。

血圧計ではその一瞬の血圧しか測れません。
しかし、私たちが知りたいのは一瞬の血圧ではなく、いつもはどれくらいの血圧なんだろう？ということです。
言ってみれば24時間の平均血圧が知りたいわけです。

正確に平均を出すには血圧を測る回数が重要なことは言うまでもないと思います。
なので、一回の血圧をいかに正確に測るかということよりも、毎日血圧を測るということの方が重要なのです。
それには一人でも簡単に血圧が測れる血圧計を使うということの方が重要なのではないかと思います。
正確に測れるけれど、測るが面倒な血圧計では血圧測定が続かないでしょう？

なぜ正確に血圧を測ることがそれほど重要ではないのかについては高血圧の項でお話ししたいと思います。

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